中小企業新事業進出促進補助金とは?
中小企業新事業進出促進補助金(以下、本補助金)とは、
中小企業が新規事業への挑戦を行い、企業の成長・拡大に向けて後押しする補助金です。
ここでいう新規事業とは、製造等する製品等が新規性をもち、かつ新たな市場のことです。
新たな市場とは、事業を行う中小企業にとって、 既存事業において対象となっていなかった顧客層を対象とします。
今回の記事では、本補助金の補助対象者・対象事業の要件などを解説していきます。
中小企業新事業進出促進補助金の目的とは?
本補助金の目的
中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。
※「中小企業等」の詳細の定義については「公募要領」をご確認ください。
※賃上げを事業の目的とすることから応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外となります。
補助金額や対象経費について

基本的な要件について
本補助金にはどのような要件が必要になるのでしょうか?
こちらは、基本要件が大きく分けて5つあります。
①「新事業進出」の事業であること
中小企業等にとって、製品又は商品若しくはサービスが、新規性を有するものであり、既存事業の市場とは異なる新たな市場であること。
※新事業進出の定義は、「新事業進出指針」にて定めていますのでご確認ください。
新事業進出指針を満たす例
・注文住宅の建設を行っていた事業者が、建設業で培った木材の知見を活かして、新たにオーダーメイドの木材家具の製造に取り組む場合。
・販促物の印刷を行っていた事業者が、既存事業での顧客対応力を活かして、新たに食堂等の内装工事事業に取り組む場合。
新事業進出指針を満たさない例
・金属部品を製造する事業者が、これまで手作業で製造していたものを、工程を機械に置き換えて製造する場合。
・自動車部品を製造する事業者が、取引先の要請に応じてより小型化した部品を製造する場合。
②付加価値額要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの
具体例:
年度 | 営業利益 | 人件費 | 減価償却費 | 付加価値額 |
---|---|---|---|---|
初年度 (補助事業終了時点) | 300万円 | 1,200万円 | 200万円 | 1,700万円 |
1年後 | 320万円 | 1,250万円 | 210万円 | 1,780万円 |
2年後 | 350万円 | 1,300万円 | 210万円 | 1,860万円 |
3年後 | 390万円 | 1,350万円 | 220万円 | 1,960万円 |
付加価値額の年平均成長率:(1,960 - 1,700)^(1/3) - 1 ≒ 5.3%
③賃上げ要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上に増加する。または、給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させること。
※目標値未達の場合、補助金返還義務あり。
具体例:
年度 | 従業員数 | 給与支給総額 | 一人当たり給与支給額 |
---|---|---|---|
初年度 (補助事業終了時点) | 3人 | 1,200万円 | 400万円 |
1年後 | 3人 | 1,250万円 | 416万円 |
2年後 | 3人 | 1,300万円 | 433万円 |
3年後 | 3人 | 1,350万円 | 450万円 |
給与支給総額の年平均成長率:(1,350 - 1,200)^(1/3) - 1 ≒ 4.3%
④事業場内最賃水準要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること。
※目標値未達の場合、補助金返還義務あり。
⑤ワークライフバランス要件
応募申請時までに、「次世代育成支援対策推進法」に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表すること。
※「両立支援のひろば」はこちらから
その他の要件はこちら
こちらは、対象となる事業者のみ該当する要件となります。
⑥金融機関要件
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受け、「金融機関による確認書」を得ていること。
※金融機関等からの資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する場合は不要
⑦賃上げ特例要件
補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと。
(1)補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
(2)補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること
※目標値未達の場合、補助金返還義務あり。
申請方法について
申請は、電子申請システムでのみ受け付けています。
本補助金の申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
GビズIDプライムアカウントの発行には1週間程度の期間を要しますので早めの準備をしましょう。
まとめ
中小企業新事業進出促進補助金は、
「新しい挑戦をしたい!」「事業拡大のきっかけがほしい!」といった事業者を後押ししてくれます。
しかし、その一方で、必ずもらえるとは限りません。
無事に補助金を受け取るためには、採択率をあげる事業計画書の作成やスケジュール管理が求められます。
必要であれば行政書士などの専門家のサポートを活用しましょう。
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